棚田代表取締役は、エンジニア出身で臨床検査システム開発に携わっていた。前職時代にとあるきっかけで、自社製品の立ち上げに携わり、未経験だった営業も行い、事業成功に注力した。その結果、1000ユーザーを越えるクライアントに採用されるなど大きな成果を上げた。その後、レントゲンやCT、MRIで撮影した画像のファイリングシステムを開発するために、エクセル・クリエイツを設立。以来、ITを通して医療現場を支えている。
キャリアにおける成功体験として、前職での自社製品立ち上げのエピソードを伺った。仕様決めから販路の開拓までトータルに携わり、未経験だった営業活動にも挑戦したという。そのときの経験が、エクセル・クリエイツの起業に繋がっている。
キャリアにおける成功体験は、前職で働いていた90年代後半に経験した、自社製品の立ち上げです。立ち上げの段階を経験できたのが、起業に繋がりました。前職の会社は、大手企業の下請として、臨床検査システムの開発、導入、据え付けです。私はエンジニア出身で、開発からシステムエンジニアリング、納品、保守などを担当していました。
ところが、ユーザー数が非常に増えたため、クライアントが自分たちでソフト開発ができる会社を立ち上げることにしたのです。部署が解散する話も出たのですが、メンバーたちは10年、15年と検査システム業界に携わってきて思い入れも強いので「自社製品として出せないか」という声が上がりました。
そこで、チーム全員で仕様決めから販売戦略の立案まで、事業の立ち上げをひと通り経験したのです。それまで営業部門がなかったため、営業部門を立ち上げて、販路を開拓しました。私は提案や交渉が苦手だったので、エンジニアをしていた部分もあったのですが、営業をする人がいないので、思い切って手を挙げました。
システムを開発する技術力はあったので、医療分析器メーカー様に機械と私たちの会社のシステムをセットで病院に販売していただくというスタイルにしました。それまで保守サポートをきっちりしていたので、信頼いただけたのだと思います。魅力がある商品だったこともあり、1000ユーザーを越えるお客様に採用いただけました。
「売れなかったらどうしよう」と不安はありましたし、私は口下手なので営業にも苦手意識がありました。しかし、いろいろな方に助けていただいたことで結果が出せたので、非常に感謝しております。
今の会社を立ち上げたきっかけは、営業活動をするなかで、レントゲンやCT、MRIで撮影した画像のファイリングシステムのニーズを知ったことです。コストパフォーマンスがよく小回りの利く製品が欲しいという声を聞き、社内で提案したのですが、開発資金の関係で却下されました。ですが、今後伸びる分野だと考えていたので、前職をすでに退職していた開発者と相談し、起業を決意。2004年にエクセル・クリエイツを立ち上げました。
開発者として目指す製品を作れる自信があったこと、事業の立ち上げに携わったこと、営業活動を通して今後伸びる分野の情報を得られたことなどが複合化して、起業に活かされたと思っています。あのとき自社製品の開発に手を挙げなければ、全く違うキャリアになっていましたね。
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