山梨医科大学医学部を卒業後、大学院で学びながら、産婦人科医の臨床医として勤務。5年目から社会医学の研究者としてのキャリアをスタートし、オーストラリアに留学。公衆衛生学修士の学位を取得した。2016年に愛知医科大学医学部の教授に就任し、講座のマネジメントと並行して、大学の産業医としても活動。さらに、医学部学生部長や医学教育センターの学修支援部門長に就任し、学生の生活や学びをサポートしている。一般的な臨床医とは異なる道を歩んできた鈴木教授に、若者たちのキャリアパスの参考になる話をしていただいた。
キャリアの成功体験について伺ったところ「何気ない言葉や行動が、学生の前向きな意思決定や行動変容につながったことです」と語る鈴木教授。臨床医ではなく、教員として働くからこその醍醐味だという。学生の頃から、臨床以外の場で医師免許を活かしたいと思っていた鈴木教授に、これまでの道のりを振り返っていただいた。
キャリアにおける成功体験は、何気ない自分の言葉や行動が、学生の前向きな意思決定や行動変容につながったことです。
就職先に悩む学生に「大学病院では、臨床や研究に加えて教育も経験できるので、自分の知らなかった強みに気づけるかもしれない」と話したところ、後日その学生が「先生のお話を聞いて、大学病院で研修することにしました」と報告してくれて、すごく嬉しかったですね。
他にも、成績不振者向けの勉強会の対象になるような学生が実習をサボったときに「1ヶ月間、毎朝、講座であいさつしてから講義に出なさい」とアドバイスしたのがきっかけで、やる気を出して毎日講義にでるようになりました。さらに、その勉強会にも積極的に参加し、下から10番だった成績が、上から10番にまで上がり、今では医師として活躍しています。
強く「何かを変えよう」と思っていたわけではないのですが、相談されるだけでも嬉しいですし、結果的に学生の背中を押せてよかったなと思っています。人との関り、若手との関りは、教員ならではのやりがいで、他の医師の仕事ではなかなか得られないです。
僕はもともと、学生時代から「白衣を着ないで医師免許を役立てられないか」とすごく考えていました。病院で働く以外の進路も視野に入れ、学生時代の選択実習でも社会医学講座を選んだんです。厚生労働省の医系技官なども考えたのですが、最初に臨床を経験しておくのが大切だと思い、まずは臨床医になることにしました。
実際にやってみて、臨床は決して嫌いじゃないし、外来で患者さんと話すのは好きだけど、論文を書いたり、読んだりすることも好きだと感じました。キャリアを考えたときに、研究と臨床を両立させるよりもどちらか得意な方に集中した方がいいと思い、今に至ります。子どもの頃から根底に人と違うことをしたいというのがあって、チャンスが来たので舵を切ったという感じです。
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