名古屋大学の理系大学院を卒業し、新卒でファイザーのMRとしてキャリアをスタート。新製品のマーケティングを経て、32歳のときに当時史上最年少で管理職に。経営戦略部を経て、34歳のときに史上最年少で部長に就任。その後、製薬業界で約20年にわたり、海外勤務を含め、マーケティングや営業部長、事業本部長などの重要なポジションを経験。現在は、アムジェン株式会社 執行役員 エグゼクティブ・ディレクター スペシャリティケア事業本部長として、循環器や骨、中枢神経領域の営業、マーケティングなどコマーシャル部門を統括している。馬場執行役員のエピソードには、キャリア形成のヒントがたくさんある。
馬場執行役員のキャリアにおける大きな成功体験の一つは、ファイザーで後発医薬品事業を立ち上げたことだという。事業開発からマーケティングまで、製薬事業の立ち上げの最初から最後までをひと通り経験したことは現在もキャリアにおける強みとなっている。さらに「自己効力感」が身につき、正しいことや理にかなったことをやっていれば、最後は必ず乗り越えられると信じられるようになり、ビジネスや人生において非常にプラスに働いているという。
キャリアにおける成功体験の一つは、ファイザーで後発医薬品事業を立ち上げたことです。ファイザーは、それまで革新的な医薬品を世に送り出すことで成長を続けてきた会社ですので、後発医薬品事業をやりたがる人間は当初皆無だったと思います。私はマーケティングや経営戦略など幅広く経験していてこれからの製薬業界を取りまく事業環境の変化は理解していましたし、直前に担当していたビジネスユニット制の導入を通して経営陣のチームと深く関わっていたこともあって、任命されたのだと思います。
本当に、知識、製品、戦略、組織、人材もない状態から立ち上げて、2年後には年間50億円の販売額を達成し、4年後には300億円を超えました。事業開発からマーケティングまで、トータルで経験できたのは、キャリアにおける大きな強みとなっています。
当時を思い返すと、いろいろ問題は起きていました。競合する企業の台頭や各種医療・薬事制度のネガティブな変更などのビジネス環境の変化が激しかったですし、製造工程におけるトラブルや後発医薬品事業にネガティブな思いを抱いている社員の反対などもありました。まさに修羅場といえるような大変さでしたが、結果的に乗り越えられた経験はすごくプラスになりましたね。正しいことや理にかなったことをやっていれば、最後は必ず乗り越えられるという「自己効力感」を得られました。
新しいことにチャレンジする際、正解らしきものがない、あるいは正解らしきものが一つではない中で、一歩を踏み出さなければいけない場面がたくさんあります。医師の場合も、勤務医療機関の変更や開業といった転機がありますが、どの道を進んだとて必ず成功する保証はありません。そこで一歩踏み出せるのは、修羅場を乗り越えた経験を経て自己効力感を持つ人ではないでしょうか。リスクは何事にも存在し、失敗のイメージが先行するものです。事業やキャリアチェンジに成功する要件の一つとして、自己効力感があると思っています。
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