漢方薬剤師一筋32年。出産、退職、起業、離婚、会社を手放し再起業と、波瀾万丈な人生を送ってきた結城代表。漢方の仕事を天職とし、歩み続けた道のりから、若者が学ぶ点は非常に多い。

---

（１度目の上海中医薬大学短期留学時の修了式の時のもの・２度目は薬膳の科目で短期留学している）

キャリアにおける成功体験としては、漢方の道を選んだこと、男性社会が色濃かった32年前に、女性で最速で昇進したこと、ベビーカーを押しながら起業し、通算20年以上経営を続けていることなどをあげていただいた。波乱万丈な中でキャリアを築いた結城代表の力強い歩みから、ぜひ多くのことを受け取ってほしい。

 

キャリアの最大の成功は、大学を卒業してすぐに漢方の道を選ぶことができたことです。大学在学中に、実習で漢方薬局での漢方カウンセリングを見たときに「これは天職だ」と心が震えました。

父は内科医だったのですが、私が思春期に頭痛や生理痛などの体調不良を訴えても、西洋医療で解明できない範囲のことには精神論を持ち出してきました。ひどい生理痛を訴えても、痛み止めを出して終わりという感じだったので「医者なのに生理痛を治せないんだ」と落胆し切っていました。いつもイライラしている父親と同じ医師にはなりたくなくて、逆にいつも穏やかで幸せそうに生きていると感じられた薬剤師の祖父と同じ道の薬科大に進んだのですが、大学で勉強する西洋薬学も、結局は根本治療になっていないと感じて、医療に対して違和感を覚えていたんです。でもそんな時、実習先の薬局で漢方薬に出会いました。漢方での体質改善は一人一人の話を聞いて、状況を理解したうえで、その人に合わせて薬を調合し、根本から改善していきます。漢方のカウンセリングを見て「小さなころからずっと、これが私が望んでいたことだ」と感じ、その時から今でもずっと同じ、この漢方薬剤師という仕事をしています。

新卒で大手漢方薬局に就職し、休みの日も本部で勉強して、最短の4年で店長に昇進しました。男尊女卑の色濃い時代に、当時、女性ではそのスピードで店長に昇進するのはめったになかったそうです。さらに店長時代、全店舗でトップの売上伸び率を出し続けた実績を評価され、本部に入り、全店の店舗の売上相談に乗る役割を担うようになりました。飛び抜けて好成績だったのと、社長にもやる気を買われたことをあまり良く思わない本部の人たちから嫌がらせに遭うこともありましたが、仕事自体がすごく楽しかったので、あまり相手にしないようにしていました。

独立のきっかけは、短期勤務したある漢方薬局でのパート薬剤師の頃です。妊娠中に3度入院したのをきっかけに、新卒で入社した漢方の会社を退職。出産後すぐにちょっとアルバイトをしようと思って、漢方薬局で週1日だけ働くことにしました。ところが、ここの薬局は立地条件などを考えると経営がかなり厳しそうだと思い、余計なお節介だったのかもしれませんが、売り上げを伸ばすためのちょっとした画期的アイデアを思いつき、その方法をその薬局の店長にアドバイスしたんです。そしたらその結果、すごく売上が伸び、喜んだ店長から「君のやり方は前の会社の販売促進だけでなく、社会に通用すると思うから独立した方がいい」とすすめられたんです。

独立の道のりは苦労のし通しでした。当時は男性社会だったので、ベビーカーを押して店舗を借りる相談をしに行っても、冷たい対応やお説教、時には騙されたことも。でも、半年以上の苦労を重ねて、やっと自分の薬局を持ってからは、あっという間に７店舗に広げることができました。漢方で良くなる患者さんと長くお付き合いできる仕事はすごく楽しいですし通算20年以上経営を続けられているので、独立の道を選んで本当に良かったと思っています。

コンテンツは会員限定です。
続きをご覧になるには以下よりログインするか、会員登録をしてください。