医療AIとは何?使われている事例って?基礎知識を解説
2024/04/11
2024/04/11
「AI(人工知能)」は、近年最も大きな注目を集めている技術のひとつです。さまざまな業界で活用されており、医療業界も例外ではありません。「医療AI」と呼ばれ、急速に普及しています。
しかし、何となく聞いたことはあっても「どんな技術かよく知らない」「何に使われているかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、医療AIの概要や使われている技術、活用事例、デメリットなどについて解説します。
しかし、何となく聞いたことはあっても「どんな技術かよく知らない」「何に使われているかわからない」という方も多いのではないでしょうか?
この記事では、医療AIの概要や使われている技術、活用事例、デメリットなどについて解説します。
医療AIってそもそも何?どんな技術が使われているの?
医療AIとは、AI(人工知能)技術を活用して、医療の質を向上させる取り組みのことです。機械学習・深層学習・自然言語処理・画像認識など幅広い技術が使用されています。
機械学習とは、コンピュータが膨大なデータに基づきルールやパターンを学ぶ技術のことです。データを学ぶことで、特定のタスクを高い精度で実施できるようになります。
機械学習の一種で、人間が「特徴量」を設定しなくても、学習できる方法です。特徴量とは、コンピュータが物事を認識するための基準となる特徴のことです。深層学習では、コンピュータが特徴を見つけて学習していきます。
人間が日常的に使用している言語である自然言語を、コンピュータで処理・分析する技術です。自然言語は、あいまいな部分を含むため、同じ言葉でも話し手や文脈によって違うことを意味するケースがあります。そのため、コンピュータで分析するには、高度な技術が必要です。
AIが与えられた大量のデータから学習することで、画像の特徴を理解し、どのような画像か認識する技術のことです。年々画像認識の精度は向上しており、人間よりも優れた精度を持つ場合もあります。
(1)機械学習
機械学習とは、コンピュータが膨大なデータに基づきルールやパターンを学ぶ技術のことです。データを学ぶことで、特定のタスクを高い精度で実施できるようになります。
(2)深層学習
機械学習の一種で、人間が「特徴量」を設定しなくても、学習できる方法です。特徴量とは、コンピュータが物事を認識するための基準となる特徴のことです。深層学習では、コンピュータが特徴を見つけて学習していきます。
(3)自然言語処理
人間が日常的に使用している言語である自然言語を、コンピュータで処理・分析する技術です。自然言語は、あいまいな部分を含むため、同じ言葉でも話し手や文脈によって違うことを意味するケースがあります。そのため、コンピュータで分析するには、高度な技術が必要です。
(4)画像認識
AIが与えられた大量のデータから学習することで、画像の特徴を理解し、どのような画像か認識する技術のことです。年々画像認識の精度は向上しており、人間よりも優れた精度を持つ場合もあります。
医療AIはどのように使われているの?代表的な事例を紹介
医療AIを活用することで、業務効率化やヒューマンエラーの防止などの効果が期待できます。
2022年度の診療報酬改定により、「人工知能技術(AI)を用いた画像診断補助に対する加算(単純・コンピュータ断層撮影)」が、保険適用されるようになりました。政府の後押しを受けて、医療AIは医療現場の人手不足解消や医療費の増大などの課題解決に向け、今後ますます普及していくでしょう。
ここでは代表的な医療AIの活用事例を紹介します。
ゲノム医療とは、遺伝情報であるゲノムを解析することで、病気の発見や治療を行う技術のことです。これまで診断・治療が難しかった病気を克服できる可能性があり、大きな注目を集めています。
特にがん医療においては、患者の遺伝子を解析し、最適な治療薬を選ぶ方法が普及しており、保険適用もされています。
人間のゲノムは約30億以上あり、人間の力だけで解析するのは不可能です。しかし、膨大なデータの解析を得意とするAIを活用して自動化できれば、ゲノム解析はスムーズに進み、病気の早期発見・治療・予防に活用できます。
レントゲン・MR・CTなどの画像をAIによって解析することで、病気や怪我の診断をサポートし、早期発見につなげる技術です。AIに大量の画像データを学習させることで、異常を検知できるようになります。
例えば、がん診断の場合、AIが画像から異常な細胞や組織を検出することで、医師の診断をサポートします。その結果、早期発見・早期治療につながり、治療が成功しやすくなります。
また、CT・MRIの画像診断のプロフェッショナルである放射線科医は、慢性的な人手不足です。放射線科医の負担を軽減するために、AIの導入が積極的に進められています。肉眼では見落としやすい部分についても高精度で異常を検出できるため、正確性の向上にも役立っており、今後ますますニーズが伸びるでしょう。
AIは大量のデータをスピーディーに処理することを得意としており、患者の情報・診断結果などの整理・管理を大幅に効率化できます。その結果、医師や看護師などの業務負担が軽減され、人手不足を解消し、患者対応などの重要な仕事に使う時間が増えます。
また、オンラインで問診を行い、AIがデータベースをもとに診断する・医師の診断をサポートするといったことも可能です。オンライン診断には、時間を短縮することでより多くの患者を診察できる、病院のない地域でも医療を受けられるといったメリットがあります。
AIを搭載したロボットなどの医療機器を活用することで、外科医のサポートや人間の手では難しかった手術を可能にする取り組みを指します。
外科手術時に損傷率の高い臓器の認識支援・注意喚起を行う外科手術支援システムなど、さまざまなプロダクトが開発されており、注目されている分野です。
AIによる手術支援は、通常の手術よりも患者の身体へのダメージをおさえることができる・手術の制度が高い・医師の負担を軽減できるといったメリットがあります。
医師のなかでも外科医は人手不足が深刻なため、AIによる手術支援は今後ますます重要視されるでしょう。
新薬の開発では、薬のターゲットになる体内のたんぱく質を見つけ、新薬候補となる化合物を探す必要があります。たんぱく質と新薬候補の組み合わせは膨大な数があり、一つひとつチェックするのは非常に時間がかかります。
AIを活用し、膨大なデータを効率的に収集・分析することで、新薬開発にかかる時間を大幅な短縮が可能です。また、より効果的な物質を発見しやすくなり、新薬の質の向上にも役立ちます。
2022年度の診療報酬改定により、「人工知能技術(AI)を用いた画像診断補助に対する加算(単純・コンピュータ断層撮影)」が、保険適用されるようになりました。政府の後押しを受けて、医療AIは医療現場の人手不足解消や医療費の増大などの課題解決に向け、今後ますます普及していくでしょう。
ここでは代表的な医療AIの活用事例を紹介します。
(1)ゲノム医療
ゲノム医療とは、遺伝情報であるゲノムを解析することで、病気の発見や治療を行う技術のことです。これまで診断・治療が難しかった病気を克服できる可能性があり、大きな注目を集めています。
特にがん医療においては、患者の遺伝子を解析し、最適な治療薬を選ぶ方法が普及しており、保険適用もされています。
人間のゲノムは約30億以上あり、人間の力だけで解析するのは不可能です。しかし、膨大なデータの解析を得意とするAIを活用して自動化できれば、ゲノム解析はスムーズに進み、病気の早期発見・治療・予防に活用できます。
(2)画像診断
レントゲン・MR・CTなどの画像をAIによって解析することで、病気や怪我の診断をサポートし、早期発見につなげる技術です。AIに大量の画像データを学習させることで、異常を検知できるようになります。
例えば、がん診断の場合、AIが画像から異常な細胞や組織を検出することで、医師の診断をサポートします。その結果、早期発見・早期治療につながり、治療が成功しやすくなります。
また、CT・MRIの画像診断のプロフェッショナルである放射線科医は、慢性的な人手不足です。放射線科医の負担を軽減するために、AIの導入が積極的に進められています。肉眼では見落としやすい部分についても高精度で異常を検出できるため、正確性の向上にも役立っており、今後ますますニーズが伸びるでしょう。
(3)診断・治療の支援
AIは大量のデータをスピーディーに処理することを得意としており、患者の情報・診断結果などの整理・管理を大幅に効率化できます。その結果、医師や看護師などの業務負担が軽減され、人手不足を解消し、患者対応などの重要な仕事に使う時間が増えます。
また、オンラインで問診を行い、AIがデータベースをもとに診断する・医師の診断をサポートするといったことも可能です。オンライン診断には、時間を短縮することでより多くの患者を診察できる、病院のない地域でも医療を受けられるといったメリットがあります。
(4)手術支援
AIを搭載したロボットなどの医療機器を活用することで、外科医のサポートや人間の手では難しかった手術を可能にする取り組みを指します。
外科手術時に損傷率の高い臓器の認識支援・注意喚起を行う外科手術支援システムなど、さまざまなプロダクトが開発されており、注目されている分野です。
AIによる手術支援は、通常の手術よりも患者の身体へのダメージをおさえることができる・手術の制度が高い・医師の負担を軽減できるといったメリットがあります。
医師のなかでも外科医は人手不足が深刻なため、AIによる手術支援は今後ますます重要視されるでしょう。
(5)新薬開発
新薬の開発では、薬のターゲットになる体内のたんぱく質を見つけ、新薬候補となる化合物を探す必要があります。たんぱく質と新薬候補の組み合わせは膨大な数があり、一つひとつチェックするのは非常に時間がかかります。
AIを活用し、膨大なデータを効率的に収集・分析することで、新薬開発にかかる時間を大幅な短縮が可能です。また、より効果的な物質を発見しやすくなり、新薬の質の向上にも役立ちます。
医療AIを活用するなら知っておきたい。デメリットと注意点
効率化など医療AIを導入するメリットは大きい反面、デメリットや注意点も存在します。主なものは以下の通りです。
医療AIを導入することで、患者の名前・病歴・検査結果などの個人情報をオンライン上で取り扱う場面が増えます。そのため、データの取り扱いやセキュリティを万全にしないと、個人情報が漏えいし、重大な問題になりかねません。
データへのアクセス権を持つスタッフを限定する、データの保管期間をあらかじめ決めておくなどの対策が求められます。
AIによる分析結果は、それまでに学習したデータの量や質に大きく左右されます。そのため、希少な病気の場合はデータ量の不足により、正確な分析が難しいかもしれません。
また、AIは内部でどのような動きをしているかや結果を出すプロセスが不透明です。そのため、信頼性の評価は困難です。また、万が一トラブルが起きた場合も、理由が説明できない可能性があります。
医療AIは、最先端のAI技術と医療技術をかけあわせたものなので、開発・導入・維持にかかるコストが高い傾向にあります。
さらに、技術の進歩に伴いバージョンアップが必要です。特に小規模な医療機関の場合は、導入コスト・維持コストの負担が大きく、AIの導入が進まない可能性があります。
万が一、医療AIによる医療事故が起きた場合、誰が責任を負うのかが不明瞭なため、大きなトラブルが発生する可能性があります。
今後、医療AIを利用する際のルールなどが整備されていくと考えられますが、今のところAIはあくまで補助ツールで医師による判断・診断が不可欠といえるでしょう。
(1)情報漏えいのリスクがある
医療AIを導入することで、患者の名前・病歴・検査結果などの個人情報をオンライン上で取り扱う場面が増えます。そのため、データの取り扱いやセキュリティを万全にしないと、個人情報が漏えいし、重大な問題になりかねません。
データへのアクセス権を持つスタッフを限定する、データの保管期間をあらかじめ決めておくなどの対策が求められます。
(2)信頼性の担保が難しい
AIによる分析結果は、それまでに学習したデータの量や質に大きく左右されます。そのため、希少な病気の場合はデータ量の不足により、正確な分析が難しいかもしれません。
また、AIは内部でどのような動きをしているかや結果を出すプロセスが不透明です。そのため、信頼性の評価は困難です。また、万が一トラブルが起きた場合も、理由が説明できない可能性があります。
(3)導入コスト・維持コストがかかる
医療AIは、最先端のAI技術と医療技術をかけあわせたものなので、開発・導入・維持にかかるコストが高い傾向にあります。
さらに、技術の進歩に伴いバージョンアップが必要です。特に小規模な医療機関の場合は、導入コスト・維持コストの負担が大きく、AIの導入が進まない可能性があります。
(4)責任の所在が不明瞭である
万が一、医療AIによる医療事故が起きた場合、誰が責任を負うのかが不明瞭なため、大きなトラブルが発生する可能性があります。
今後、医療AIを利用する際のルールなどが整備されていくと考えられますが、今のところAIはあくまで補助ツールで医師による判断・診断が不可欠といえるでしょう。
まとめ
医療AIとは、AI技術を駆使して医療の質を向上させることを指します。機械学習やディープラーニングなどさまざまな技術が、医療AIに活用されています。
医療AIの主な事例としては、ゲノム医療や画像診断、診断・治療の支援などがあります。業務効率化や医療従事者の人手不足の解消など医療AIを導入するメリットは大きいですが、情報漏えいのリスクや信頼性の担保の難しさなどの課題があります。
医療AIは今注目の領域なので、医療業界への転職を考えている方は、ぜひ情報をチェックしましょう。
医療AIの主な事例としては、ゲノム医療や画像診断、診断・治療の支援などがあります。業務効率化や医療従事者の人手不足の解消など医療AIを導入するメリットは大きいですが、情報漏えいのリスクや信頼性の担保の難しさなどの課題があります。
医療AIは今注目の領域なので、医療業界への転職を考えている方は、ぜひ情報をチェックしましょう。
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